「いやー。どもーギルドマスターさんですかー?  私イーリスって言いますー」

 マリーさん曰く、雇用希望の少女がまったりと自己紹介をしてくる。見た目は12歳くらいで、特徴的なネコミミから獣人族ということがわかる。ただ、獣人族なので実年齢はもう少し上かもしれないが。

「はい。マスターというか、社長のアレスです。イーリスさんは、うちのギルドで冒険者として働きたいってことでいいのかな」
「そーですー。とりあえず、立ち話もなんですから、座りませんかー?」

 うーん……マイペースというか、何というか。まぁ、とりあえず話を聞いてみよう。

「じゃあ履歴書はありますか?」
「あ、はいー」

 封筒に入った、意外にきれいな履歴書が出てくる。
「住所が記載されていないんですが、家出とかじゃないですよね?」
「違いますよー。それに私もう19歳ですよー」

 ぶっ!!

 ユカ君に淹れてもらったお茶を、思わず噴き出す。見た目12歳くらいなのに、年上……そして、マリーさんと同い年とは。獣人族恐るべし。そして、マリーさんは相変わらずの無表情。これくらいではまだ驚愕に値しないのか。

「よく見たら履歴書に年齢書いてますね。すみません。えっと、住み込みで働きたいということですか?」
「はいー。大丈夫ですかー?」
「一応、空き部屋が3階にあるので、住み込みは大丈夫なんですが、イーリスさんの冒険者としての経歴を教えて貰えますか」
「えっとー、武術ができるのでー、寺院の人と一緒に悪魔退治したことがありますー」

 ……驚いた。悪魔退治と言えば、冒険者ギルドで扱う依頼としては、それなりに高レベルの案件となる。というのも、そもそも悪魔族には普通の武器や魔法が通じないため、寺院――プリーストタイプの冒険者の力が必要となる。しかし、プリーストタイプは全般的に刃物を禁じているため、一般の冒険者と組むことは少ない。おそらく、武術と言っているのは、体術での戦闘のことだろう。これならプリーストタイプとも組むことができる。

「なるほど。悪魔退治は凄いですね。では、その武術の実力を見せてもらえますか」
「えっとー、社長さんを倒せばいいのー?」
「ち、違うから。ちょっと待ってくださいね」

 残念ながら僕は戦闘タイプではないので、間違いなく負ける。というより、戦闘のための能力を保有していないので、そもそも戦闘にもならない。

「マリーさん、ソル君を呼んでくれませんか」
 
 割と最近入った、18歳のソル=ブリッツ君。僕と同い年でファイタータイプの冒険者。あまり強くはないけど、一応うちのギルドの及第点はクリアしている。

「アレスさん、何か用ですか?」
 
 現在依頼待ちの待機状態のため、庭で素振りをしていたらしく、汗だくの少年が現れた。